報告と根拠
資産評価レポート(大阪繊維商事・領域A〜E)
公開 更新
プロジェクト名: 大阪繊維商事 基幹システム 資産評価 PoC(古い資産の死活棚卸し) 対象: 領域A(商品・在庫管理)/領域B(受発注・貿易)/領域C(生産・OEM/ODM)/領域D(物流・倉庫)/領域E(販売・債権・採算)/共通基盤 評価時点: 2026年7月4日(資産評価PoC)/証拠期間: 2026年4〜5月の実行ログ 作成: dele
目次
本レポートの読み方
このレポートが答えるのは「どのプログラムから、安全に手を離せるか」の一点です。
これは推定であって、確認ではありません
判定は 2026年7月4日時点で、ご提供いただいた資料(ソースコード・DBデータ・2026年4〜5月の実行ログなど)の範囲から機械的に採点した推定です。実際に動いているかどうかを確認したものではありません。止める判断の前には、必ず所管部門の現場確認を重ねます(サイト上では「現場確認」として推定の上に表示しています)。
会社名・システム名・数値はすべて合成データで、実在の企業とは関係ありません。
経営層向けの要点
全体
採点373本のうち131本(35.1%)に現役の証拠がない
推定休眠86本、推定死亡45本。保守費はこの分にも払い続けています
削減の余地
商品・在庫管理と受発注・貿易に集中している
非稼働率はそれぞれ44.2%と43.2%。品番の改番と取引条件の変更を重ねた層です
守る領域
物流・倉庫はほぼ全部が現役(8.3%)
止まると当日の出荷が止まります。減らす対象ではなく、守って中身を見えるようにする対象です
いずれも2026年7月4日時点の観測値です。
要点は3つです。
- 止められる資産がまとまった量ある。ただし「動いていない証拠」は「止めてよい根拠」そのものではないため、停止 → 監視 → 撤去の順で、いつでも戻せる形で進めます
- どこから手を付けるかは領域で分かれる。削減は商品・在庫管理と受発注・貿易から、堅牢化は物流・倉庫から、基盤の刷新は共通基盤から始めるのが合理的です
- 人がつないでいる区間が残っている。プログラムを減らすだけでは業務の滞留は減りません。継ぎ目の自動化と合わせて初めて効果が出ます
1. 調査の対象範囲
| 区分 | 数量 | 備考 |
|---|---|---|
| 依存グラフのプログラム | 560本 | うちソース提供 373本 / 呼び出しから復元 187本 |
| 死活の推定採点 | 373本 | ソースが提供された分を採点しています |
| 呼び出し関係 | 333本 | プログラム間の依存 |
| 機能仕様書 | 232点 | 対応するプログラムに紐づけています |
| 対象システム | 29本 | 6領域(A〜E・共通)に分類 |
対象外としたのは、リテール(直営店・EC)、海外拠点の業務システム、ERP(財務会計・人事給与)、情報系・OA です。これらは第2クールの全社スクリーニングで棚卸しを終えており、判定データの反映は順に進めています。
2. 調査手法
本番環境には一切触れずに進めます。
- 資産の棚卸し — ソース・DBの定義・仕様書を集め、呼び出し関係から全体の構成を組み直します
- 環境の再現と裏取り — 本番の複製環境を作り、実データや実行ログと突き合わせます
- 死活の推定判定 — 5つの証拠で採点し、推定現役 / 推定休眠 / 推定死亡に分類します
- 処置方針の決定 — 廃止・維持・ラップ・改修・刷新のどれにするかを領域ごとに決めます
- 安全な切り替え — 新旧を並行して動かし、結果の差を見ながら段階的に切り替えます
3. 死活推定の採点方法
5つの証拠を100点満点で採点します。点数そのものより、何を根拠にそう判断したかが追えることを重視しています(サイト上では1本ずつ採点の内訳を表示しています)。
| 証拠 | 配点 | 立てている仮説 |
|---|---|---|
| 実データの動き | 30点 | 現役なら、読み書きする帳簿に実データが動いているはず |
| つながり | 25点 | 現役なら、他のプログラムと呼び合って動いているはず |
| 実行のきっかけ | 20点 | 現役なら、日次・随時などの実行契機が運用に組み込まれているはず |
| 仕事量 | 15点 | 現役なら、帳簿の読み書きという実務をこなしているはず |
| 仕様書 | 10点 | 現役なら、設計意図が仕様書として維持されているはず |
判定の境界は 50点以上が推定現役、20〜49点が推定休眠、20点未満が推定死亡 です。
4. 結果(全体分布と非稼働率)
死活推定採点373本の構成
全社の推定非稼働率は 35.1% です。推定死亡に多く見られた根拠のパターンは次のとおりです。
- アクセスする全テーブルが空 — 実データの動きがない
- 呼び出し元がなく、依存グラフ上で孤立している
- 実行契機の記載が運用資料に見当たらない
- 旧品番体系(改番前)を前提にした処理と見られる
- 取引が終了した仕入先・得意先の専用処理と見られる
繊維商社の基幹に特有なのは、品番体系の改番と取引先の入れ替わりが、そのまま使われない処理の層として残っていることです。制度の変更ではなく商売の移り変わりが負債になっているため、業務側の記憶と突き合わせないと判断できない資産が一定量あります。
5. 領域別の評価
| 領域 | 採点 | 推定現役 | 推定休眠 | 推定死亡 | 非稼働率 |
|---|---|---|---|---|---|
| A 商品・在庫管理 | 86本 | 48本 | 21本 | 17本 | 44.2% |
| B 受発注・貿易 | 81本 | 46本 | 23本 | 12本 | 43.2% |
| C 生産・OEM/ODM | 58本 | 41本 | 14本 | 3本 | 29.3% |
| D 物流・倉庫 | 48本 | 44本 | 1本 | 3本 | 8.3% |
| E 販売・債権・採算 | 60本 | 41本 | 12本 | 7本 | 31.7% |
| 共通・その他 | 40本 | 22本 | 15本 | 3本 | 45.0% |
| 合計 | 373本 | 242本 | 86本 | 45本 | 35.1% |
領域A(商品・在庫管理) — 6領域で最も削減の余地があります。品番・カラー・素材の体系を何度も作り直してきたため、旧品番を前提にした処理が層になって残っています。
領域B(受発注・貿易) — 商売の本線で改修が続いており、動いているものが多く残っています。一方で輸入諸掛の按分や納期回答など、Excelと併走している処理が集まっています。
領域C(生産・OEM/ODM) — 後から作った層のため新しい言語が多く、非稼働率は相対的に低めです。工程進捗の把握が工場からの報告に依存しています。
領域D(物流・倉庫) — 動いていないと見られるのは4本だけです。減らす対象ではありません。止めないための冗長化と、中身が読める状態にすることが目的になります。
領域E(販売・債権・採算) — 決算・採算の見直しのたびに集計処理が足されており、似た計算が並んで残っています。
共通・その他(全社基盤) — 非稼働率が45.0%と最も高い一方、全領域がここに依存しています。基盤の刷新はここから始めますが、止める順番の判断は最も慎重に行う必要があります。
6. 経営提言と次フェーズ
- 止める順番を決める — 推定死亡45本のうち、現場確認で「使っていない」と確認できた分から、停止 → 監視 → 撤去の順に進めます。年1回のような低頻度の処理を取りこぼさない監視期間を必ず置きます
- 守る領域を決めて堅牢化する — 物流・倉庫は削減対象から外し、要員の偏りと仕様書の欠落を埋めることに投資します
- 人がつないでいる区間を自動化する — プログラムの本数を減らすだけでは業務の滞留は減りません。継ぎ目の自動化と同時に進めます
- 第3クールへ広げる — リテール・海外拠点・ERPに同じ方法を適用し、全社の資産を同じ物差しで比べられるようにします
活動報告サマリー
何を確かめ、何を決め、何を実行したかを時系列で
全社システム資産マップ
6領域の把握状況と診断のジャーニー
モダナイゼーション・ロードマップ
年度別のフェーズ・投資額・工数
プログラム一覧
560本の判定・依存関係・仕様書を1本ずつ